対岸(Michigan)のブランパン

対岸(Michigan)のブランパン

このブログでは、欠かせる情報をピンポイントすぎる視点で垂れ流しております。

【Black Walnut Bakery Cafe】ミシガンからカナダへ征かれると?ならばロンドンを経由されたし。

 

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ミシガン、それもデトロイト近辺は、立地上カナダにほど近いところに位置している。

ミシガンそれ自体が全米でも14番目のGDPを誇る事は既に別記事にて述べたとおりだが、カナダに近いというのもなかなかに捨てがたいメリットと言えるだろう。

 

例えば筆者の住まいから考えれば、観光地として名高い彼のナイアガラの滝であったり、あるいはトロントも、およそ5時間も運転すればたどり着ける。

デトロイト近辺にお住いの御仁が、果たして年間何人ナイアガラの滝に挑戦されるのかは皆目見当もつかないが、観光地として高名であるがゆえ、れはもう相当数おられるものと憶測が止まらない。

 

 

 

このブログがナイアガラの滝やトロントと同じように高名なブログであったならば、この流れで

 

『ナイアガラの滝観光!おすすめ見どころ情報!』

『ここだけは外せない!トロント観光のおいしいとこだけ!』

 

といった勢いで観光情報を載せたいところではあるが、悲しいかなこの辺境ブログにはそのような有益な情報は似つかわしくない。

 

あくまで辺境ブログであることを念頭に置き、ピンポイントかつさほど役に立つとは思えない情報を提供する姿勢を貫く必要があることは、もはや検討するまでもなく明白だろう。

 

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本記事における申し訳程度のナイアガラの滝要素である。なおこれ以降、ナイアガラの滝は一切登場しない。

 

 

 

つまり、『ナイアガラの滝あるいはトロントに行った後どうするか』ではなく、『ナイアガラの滝に行く途中はどうするか』あたりのピンポイントで物を考えていく必要がある。

 

 

『行く途中』となると、それはつまるところ車の運転中を意味するだろう。

ミシガンからカナダへ赴く道は平坦かつ、まっすぐな道が続く。ややもすると眠気を催してしまう諸兄姉もおられるのではないかと憶測を立ててやまない。

 

 

 

 

となると、その道中に絶対必要不可欠と言っても過言なのはそう、

 

 

 

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www.blackwalnutbakerycafe.com

 

『いい塩梅の立地』で、『いい塩梅のコーヒー』『それとなく』提供してくれるカフェであるだろう。

 

 

この3条件を満たすカフェがあったならば、それはナイアガラの滝やトロントをすらも凌駕する存在となりえると言ってしまっても過言だろう。

 

 

 

 

 

そして今回、筆者としてはそこにカナダはロンドンに存在する

【Black Walnut Bakery Cafe & Roastery】

をこそ、推したいと考える次第であり、以下にその論拠を詰めていきたい。

 

 

 

 

 

 

『いい塩梅の立地』に関する愚考

 

ロンドンと聞くとまず連想されるのは、かつて英国の良心と謳われたあの名門靴メーカーを擁する彼の国の首都であろうが、しかし今回は彼の国ではなく加の国、すなわちカナダに存在するもうひとつのロンドンである。

 

 

さてこのロンドン、デトロイトあたりから見るとおおよそ中間地点に位置している。

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デトロイトから出発したならば凡そ2つのルートが考えられるが、そのどちらにおいても大体中間地点である。

 

 

2時間の運転に対して10分~20分程度の休憩が望ましいとされているそうだが、最初に出発しておよそ2時間、その地とはまさしくロンドンではなかろうか。

 

つまるところこの立地は、先述の条件、『いい塩梅の立地』ということになると筆者は愚考するわけである。

 

 

 

 

『いい塩梅のコーヒー』に関する愚考

 

『いい塩梅のコーヒー』と書くと何やら字面がおかしいようで、それこそへそでコーヒーをドリップせずにはいられない諸兄姉もおられるだろうが、しかしこのいい塩梅を評価するのはなかなかどうして難しい。

 

 

ただ、少なくともこのカフェに関して言えば恐らく『地元の人気店』であろうことは伺い知れる。

 

屋内席がおよそ40席程度あるのに加え、テラス席も同程度あるために合計で大体80席程度収容可能なようだが、昼時前に伺った時点で半分以上は席が埋まっている印象であったためである。カフェタイムともなれば常時満席となってもおかしくはない。

 

また寒いカナダのこと、冬の時期はテラス席など寒くて滞在できたものではないだろうから、冬場の店内は更に混むこと請け合いだろう。

 

筆者同様にコーヒーをテイクアウトしていく御仁も散見され、総じて繁盛しているのではないかと推察する次第である。

 

 

 

コーヒーの品揃えとしては、アメリカーノやラテ、モカといったエスプレッソドリンクをメインに、ドリップコーヒー、コールドブリューやデカフェといった展開もある。

全体として、フェアトレードであることが念頭にあるようだ。

 

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ちなみにマシンはELEKTRA製を使用しているようだ。あまり見かけないようにも思うが実際どうなのかは筆者には全くわからない。

 

基本的には12oz (355ml) あるいは16oz (473ml) の2サイズで揃えている。

小さいサイズだとアメリカーノの2カナダドルちょっと、ラテが4カナダドルちょっとであるから、感覚的にはアメリカーノがおよそ200円前後、ラテが400円未満といったところだろう。

 

 

 肝心の味に関しては、

・全体的にインパクトはさほど強くない。

・酸味はほとんどない。

・どちらかというと優しい味わい。

という感覚であった。

 

もっともこれは曖昧な筆者の曖昧な味覚であるからして、参考以下程度の情報であることは言うに及ばず。

カナダのコーヒーが全体的にこういう傾向なのか、或いはフェアトレードを推している店がそういう傾向にあるのか、といった点も含めて、筆者には全くわからないということを追記しておきたい。

 

 

 ちなみに豆の販売も行っている。 

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いずれもフェアトレードであるようだ。

 少し驚いたのは、1Lb (454g) で19カナダドルという点である。

執筆時で1カナダドル = 80.43円であるからして、100gあたり340円以下の計算になる。

この手のお洒落カフェにしてフェアトレードの品であることを考えると、割安なのではなかろうか。

 

 

 

なおこれは極めて個人的な印象ではあるが、この手のカフェだとエスプレッソ用であっても、かなり浅煎りの豆を使用する店が多いように感じる。

フルーティなコーヒーを目指しているためかもしれないが、どうも昨今のカフェはその傾向が強まっているように思う。

 

浅煎りを否定するわけではないが、猫も杓子も浅煎り至上、というのもいかがなものか考えるがする今日であり、その点でダークローストまで扱っているこの店の存在はありがたいようにも感じる。

 

なおBakeryと銘打つだけあって、朝食のお供のクロワッサンに始まり、スコーンケーキクッキーの類、あるいはサンドイッチ、そしてほうれん草パイ等様々な軽食も取り揃えている。パイ類は頼めば温めなおしてくれるようである。

 

 

やや話がそれたが、どのようなコーヒーが好きか、というのは人によって異なるべきである。

が、ともあれ旅先で飲むコーヒーとして、この全体的に優しい味のコーヒーは何とはなしに『いい塩梅』で、フェアトレードでありながら豆も『いい塩梅』の価格設定なのでは、とここは半ば強引に結論付けたい。

 

 

 

『それとなく』に関する愚考

 

『それとなく』というのはもはや基準でも何でもないが、外観からもわかる通りここは所謂お洒落なカフェとして認知されている事と思う。

 

 

お洒落カフェにはつきもののグッズ類は言わずもがな充実しているし、

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カナダドルの持ち合わせが足りなかったので断念したが、筆者としてはPGとYGの中間色のような色合いのタンブラー(36カナダドル)が気になった。

 

全体的にあるいは茶色で統一されているのも好印象である。

メニューも黒板で表記しているのは、何やらこそばゆくすら感じられる。

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この時代に黒板と言うのがまた好い。

 

『それとなく』も人によって異なる基準になるが、過度に華美でもなく、落ち着きすぎているわけでもなく、はたまた前衛的すぎるわけでもないこの様相というのは、『それとなく』いい感じに提供する場として相応しいではなかろうか。

 

 

 

ともあれ以上の論拠により、このカナダロンドンに君臨する

【Black Walnut Bakery Cafe & Roastery】こそ、

『いい塩梅の立地』で、『いい塩梅のコーヒー』『それとなく』提供してくれるカフェなのではないか、と愚考するに至った次第である。

 

 

 

ちなみに辺境ブログであることを活かして重箱の隅をつついておくならば、コーヒーの提供スピードが気持ちゆっくりめな感はある。

 

それ自体は別にいいのだが、この店の場合はそれなりに人気店でかつテイクアウトの御仁も多いので、コーヒーの提供を待つ人が同時に複数人存在しうる。

そんな中、待つ場所があまり広くはなく、あったとしてもその場所がスタッフの動線に被るので、やや手狭感があるようには感じた。

 

 

もっともそんなことを気にするのは筆者だけと言われれば、それはまさしくその通りかもしれない。

 

 

Raretsu

 

 

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ちなみにカナダへ征かれるのならば、お土産は定番だがアイスワインを一考されてはいかがであろうか。特に品種にこだわりがなければ、歴史を鑑みるにVidalも良いのでは、と愚考する次第である。

 

【Apollo manual hand grinder 後編】小気味よく刻みし歯車と刃の実力はいかなるや?

 

 

先日の記事においては、恐れ多くも千手千眼観自在菩薩の慈悲深さに触れながら、その御手の多さには遠く及ばずとも100を数える選択肢、もとい粒度の調整幅を誇る奢侈なるハンドミル、その名もアポログラインダーについて個人的な意見を垂れ流した。

 

www.raretsu.com

 

 

本記事は僭越ながら、その後編にあたる。

 

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※単純な選択肢の多さが活きた時のイメージ図。

 

 

 

 

前編ではこのアポログラインダーの調整幅が100を超えていると記載したが、実際にはどのように、どのくらい削り倒せるのかこそが肝要であるだろう。たとえば1000ダイヤルあったとして、それが全部粗挽き向けだったとしたら、あまりに実用性に欠けると言えよう。

 

 

 

ときに、アポログラインダーの説明書を確認してみよう。

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何やら古文書のような色合いになっているが、ただのコピー用紙である。図らずも、間接照明の本気を垣間見てしまったようだ。


この古文書風味な紙面を簡単に要約すると、

 

一、分解するべからず。貴様の手には負えぬ。

二、零点調整は時計の方向へと攻めよ、さすれば自ずと判る。

研削のすゝめ

急行:零点より反時計回りに九つ、或いは十の段階。

手仕事:零点より反時計回りに十四から十六の段階。

一つの段階は五つの数えに匹敵す。

我が忠告を聞け:机の隅に置くべからず。畳表への強打は避けられぬ。

 

以上のような内容である。

時計回りに回すと細かく、その逆は粗くなるという事は前編でも述べたとおりだが、説明書ではもっとも細かい設定を基準(零点)と表現しているようだ。

 

 

つまり、エスプレッソ用の場合は基準から45クリックから50クリック程度、ハンドドリップの場合は70クリックから80クリックの間が推奨値という事らしい。ちなみに回した感じだと、零点から反時計回りにおおよそ110回くらいは回るようである。

 

 

 

 

そこで、いくつかの段階に分けて実際に挽いた粉の状態を見比べてみたいと思う。

コーヒー豆は近所のBirmingham Roastで購入したTHE FIREを使用した。

www.birminghamroast.com

 

 

 同店はBirminghamエリアでもかなりお洒落なカフェで、客足の途絶えない人気店でもある。何かの機会でいずれ紹介したいところである。

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”エスプレッソ用にイカした豆はある?”と尋ねたところ、”イカしてるかは知らないけど、これでいいんじゃないの”くらいの勢いで勧められた豆である。米国式の小気味よい接客姿勢とは、やはりこうではなくては。

 

 

 

さて、見比べるとなると比較対象が必要になるわけだが、前回も紹介したデロンギ製KG364Jにその任を全うしていただこうと思う。

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くどいようだが、このKG364Jも家庭用としては極めて素晴らしいバランスを誇っている事は再度述べておきたい。

 

 

 

KG364Jの場合、粒度は13段階だか14段階だかで調整できる。(無改造の場合)

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改造すると粒度と粒度の間を設定できるようになったりするが、もちろん保証等は効かなくなる。

 

 

とりあえず3段階として、最も粗いCoarseの右端中間のMediumとFineの間くらい、そして最も細かいExtra Fineの左端の三か所を取ってみる。

 

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Extra Fineの焦点が明後日の方向にいっているが、かろうじて上の部分で判断できそうなのでそのまま掲載している。

 

見たところ、粗めから細かめまでそれなりの範囲で挽けているように見受けられる。Extra Fineは結構な細かさで、家庭用のポンプ式エスプレッソマシンに使うのであれば十分以上である。

 

再三申し上げているが、やはりKG364Jは家庭用のグラインダーとしては非常にコストパフォーマンスに優れた機体なのである。

 

 

 

 

続いて件のアポログラインダー卿である。

 

ひとまず零点(時計回りにいっぱいまで回した状態)からおよそ110クリック、90クリック、60クリック、30クリック、5クリックの5か所で試みた。

零点の一番細かい設定も試したみたが、あまりに細かすぎるのか粉が一向に出てこず、5クリックにて実施した。

5クリックだけやたらと量が少ないのは、出てくるのに異様なほど時間を要するために割愛しているためである。

 

 

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やはり細かい方は焦点がやや辛いが、例によってそのまま掲載している。カメラの性能もそうだが、筆者の撮影技量はそもそも褒められたものではない。

 

アポロ卿でいうところの110クリックは、KG364JのCoarse設定よりもやや粗めに見える。また5クリックは細かくなりすぎているのか、粉というよりは塊のようになってしまっている。写真だと潰れて非常に見づらいが、触った感触では明らかにKG364JのExtra Fineよりも細かい。

とはいえ5クリックはグラインドに異様なほど時間がかかり、とてもではないが実用的ではない。

 

 

ただし、一般的に極細引きが要求されるエスプレッソ用ですら40クリック前後で事足りるのである。実際に筆者がエスプレッソを落とす際も、45クリック前後で丁度いいと感じている。したがって5クリックレベルの挽きを必要とする場面は、浅学なる筆者からすると思慮の外にあると言っていい。

 

本来ならば粒度分布なども計って然るべきかもしれないが、設備の問題もあるし、何よりあまりにNardな内容になっても気が引けるというものである。

こういう時に限り、あくまで浅学の身であることを良しとしたい。

 

 

 

 

 以上まとめると、

 

粒度の調整幅は110段階程度

最も粗い設定だと、Delongi KG364Jよりもやや粗めに挽くことが可能

細かい設定を攻めれば、Delongi KG364Jよりも更に細かく挽くことが可能(ただし、その必要があるかどうかはやや疑わしい)

 

以上のような内容になるだろうか。

 

たったの3行で済む話を、2000字以上もの文字数を使い冗長さの極致を体現する辺境ブログの存在は全く嘆かわしいものである。

 

 

 

 

 流石はプレミアムなハンドグラインダーというだけあって、そのカバー範囲はKG364Jを上回るものであった。細かさについて言うとやや過剰性能気味な気もするが、価格を考慮すればむしろ過剰なくらいが小気味よいというものかもしれない。

 

 

また前編でも述べているが、無論このアポロ卿は性能も優秀なのであろうが、単純に豆を挽くというだけに留まらず、”使う人間側の感覚面を考えて設計されたツール”という側面も孕んでいるように思う。

 

 

例えばデザインであるが、アポロ卿は他のプレミアムなハンドミルに比べても洗練されたもののように感じる。

 

ボディはフライス盤で削っているというから、切削痕でもあるのかとおもいきやそんなこともなく、またその適度な重さは高級感を演出する。

 

別にベアリングが凄いなどと宣言するつもりは毛頭ない(規格品のベアリングの値段など、本当に微々たるものだ)が、それでも回転部分に2か所配備さている分、挽く際の感触向上には間違いなく一役買っているだろう。

 

 

 

そして何より、この粒度調整用のクリック機構である。いちいち分解せずに調整できるというのは面倒くさくなくて良いし、このクリックの感触自体が妙に小気味よいのである。調整する必要もないのにいじりたくなるような、そういう感覚すらある。

これは喩えるなら、巻き心地の良い手巻き時計をいじる感覚に似ているかもしれない、とは筆者の妄言であるが。

 

 

なかなかどうしてその心地が良いものだから、最終的にこんなものまで作ってしまったのだから、これはもう始末に負えない。

  

www.youtube.com

 

 

 

とはいうものの、このアポログラインダーは本体価格だけで$280+送料という事は忘れてはならない。

単純にハンドミルとして見た時には、その価格はもはやプレミアムを通り越してラグジュアリーとすら形容できるかもしれない。

 

そのあたり、やはりこのApollo manual hand grinder”道具+αの感覚”を求めているユーザーにこそしっくりくる製品といえるかもしれない。

 

 

 

 

ちなみに、挽いた豆が出てくる受け皿の形状であるが、現在使用中のポルタフィルターの径にしっくり来ている。

Approved by La Pavoniと箱に書いてあったような気がするが、その辺も考えられているのかもしれないと愚行する筆者であった。

 

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”かっぽり”とはまる様はなかなかどうしてこそばゆい。

 

 

Raretsu

 

【Apollo manual hand grinder 前編】100を数える選択肢と、奢侈に富む風格を備えしプレミアムなハンドグラインダー

 

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それはGoodに留まらず。あるいはGodをも捉えうる。

 

初めて「千手観音」という言葉に出会った時、筆者ははじめ”千本もの御手をお持ちになる観音様がおられるのだ”と解釈した。まさしく文字通りの、言ってしまえば愚にもつかないほどの解釈であったが、しかしその解釈自体には間違いはなく、数は少ないものの実際に千本の御手をお持ちになられる観音様はおられるそうだ。

 

 

しかし多くの千手千眼観自在菩薩は、視覚的にとらえた際の御手の数というのは42本というのが主流だそうである。というのも、一つの御手で25の世界をお救いになられるため、25×40=1000という計算になるそうだ。加えて前で組まれている2本を加えて、42本となるということである。

 

www.youtube.com出典:むにむに 様

 

また、実際にはその掌にそれぞれ目が付いているそうで、これはどのような衆生であれ余さず救いの手を伸ばしなさるという事だそうだ。

論ずるまでもないだろうが、その差し伸べてくださる御手の多さを目の当たりにしたならば、この愚昧なる筆者であろうとも慈悲の深さを感じずにはいられない。

 

 

 

 

さて、そんな慈悲部深き菩薩様には到底かなうまいが、しかし時として単純な選択肢の多さが功を奏す場面というのは散見される。

そう。

ここまで記載してしまったならば答えを言っているも同然ではあるが、本日は『Apollo manual hand grinder』について極めて個人的な意見の垂れ流しを敢行したいと思う。

 

www.bplus.biz

 

 

 

コーヒーグラインダーの明日を憂うコーヒーグラインダーフリークの諸兄姉には紹介するまでもないだろうが、こちらのアポログラインダーは所謂『大分プレミアムな手挽きグラインダー』である。

 

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非常に質感の良い箱だが、ブルーがベースなのも意外と珍しい気がする。

 

 

 

 

「手挽きグラインダー」というと、脊髄反射的に思い浮かぶのはこのような、昔懐かしいフォルムではなかろうか。

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カリタのクラシックミル。古き良き風貌が実にしっくりとくる。

出典:Amazon

 

この手のノスタルジーなハンドミルだが、意外と購入された経験のある方は多いのではないだろうか。

「知己から土産物として珈琲豆を受領したが、粉砕器具を所持しておらぬ。これ好機とばかりにいくつか見繕ったが、やはり趣こそ肝要だ。」と話す友人もいた通り、この何とも「コーヒーミル」といった風体に一度はそそられるのではないか。いきなり電動のミルを買うという選択肢はやや高くつくきらいもあるし、大体5000円もあれば御釣りをいただけるクラシックなミルは、魅力的に映るのではと推測する。

 

 

 

しかしながら、この手のハンドミルというのは見栄えのポイントが高い一方で、実用性についてはやや辛い傾向がある。個人的に経験談を垂れ流すならば、特に下記の3点がデメリットとしてあげられるように思う。

 

・挽き具合の調整があまり効かない

・一定以上細かく挽けない

・そもそも手で挽くのが面倒

 

1番目と2番目については、ローエンドのハンドミルは構造も造りも大雑把(そこも古き良き、なのだが)なため、ある程度はご愛敬であろう。

3番目については身もふたもない感想だが、実際この面倒くささが勝って押し入れにしまってしまった人は少なくないはず、とこの愚昧なる筆者は憶測を広げる。ちなみにこの手のハンドミルを購入したはいいが、その後1週間かそこいらで匙を投げたのはほかでもない、愚昧なる筆者である。

 

 

そうした後、次に手を出したくなるのは電動式である。電動となると用途や方式、そして価格帯も一気に広くなるが、比較的手を出しやすいのがこの手のグラインダーではなかろうか。

 

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Delongiが誇るKG364Jである。それなりの期間お世話になっているが、機能面・価格面で特に不満はない。

 

性能と価格、扱いやすさも含めてバランスの良い機体で、挽き具合の調整幅もそれなり(14段階)にあり、ついでとばかりにエスプレッソ用の極細挽きにも対応している。そして何より電動なので手間はほぼない。

家庭用として用いるならば、恐らくもって不満は生まれないだろう。

 

 

 

ところが人間とは、かくも業の深き存在である。

こと何かに一度慣れてしまうと、その何かとは異なるベクトルで夢を見たくなるものである。家庭用として見た際、機能的に全く申し分のないKG364Jを持ちつつも、どこか鎌首をもたげる満ち足りぬ感覚とは、先人が遺した言葉通り「趣」への渇望だったのかもしれない。

 

 

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「趣」、つまるところそれは「ハンドミル」への回帰を意味するのではないか。と、この愚昧なる筆者が憶測を立てた先にあった物こそ、件の『Apollo manual hand grinder』なのである。

 

 

 

 さてそんな『Apollo manual hand grinder』であるが、一見すると「ちょっとモダンなハンドミル」といった風貌である。

前述の通り、一般的な粗挽きからエスプレッソ用の極細挽きまでなんでもござれ、という威勢の良さをウリにしている。

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カラーはGrape Champagne Goldを選択している。この手の柔らかな色は、何ともこそばゆく感じられて仕方がない。他にシルバーや黒、赤などもあるようだ。

 

 

 

加えて質感についても一家言あるらしく、回転部分にはベアリングをそれぞれ搭載している。ついでとばかりに、ボディの加工部分はいちいちフライス盤で削っているようである。誇らしげに動画でその様子を投稿しているようだ。

www.youtube.com出典:La Pavoni

 

 

そのボディはどうやらアルミ製だそうで、しかして手にした際の重量感たるやなかなかのものである。

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公称は1030gのようであるが、誤差範囲といったところだろうか。

これら質感と重量が相まみえることで、えも言われぬ高揚感を醸成せずにはいられないのは愚昧なる筆者だけではなかろう、というのは過言かもしれない。

 

 

 

さて、その質感に一抹の恋慕の情すらをも覚えつつも、グラインダーとして求められる性能を冷静に判定する姿勢は崩してはなるまい。

 

まず挽き具合の調整については、よくあるハンドミルであるとハンドルを外してからネジを締めたりするものだが、このアポログラインダーにはそういった分解は不要である。

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分解せずとも調整ができるのは、かなり便利であると評価せざるを得ない。

軸についている目盛り付き歯車のような部品を回すと、小気味よいクリック音と共に調整が可能になっている。時計回りに回せば細かく、反時計回りに回せば粗くなる。

 

 

ちなみに裏面を見ると、回転させた分に応じて刃の位置が変わっている様が観察できる。

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左が最も粗くした設定、右がもっとも細かくした設定である。もっとも、右の状態は細かすぎて挽けたものではないが。



 

そして何より驚くべきは、その調整幅の細かさであろう。

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先ほどの目盛りの拡大。1~10までの刻印がつけられているが、1回転しか回らないということではない。おおよそ2回転+αくらいの可動域のようだ。

 

何故か公式HPでは触れられていないが、一度手に取って回したならば、その小気味よい感覚と共に、実に100段階以上の細かさが選択できるであろうことが伝わってくる。

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この調整幅の広さには、さしものリスも驚きの表情を隠せないと叙述したいが無関係である。

 

正直、調整幅が100段階もあったところで、実際に使うダイヤルは限られてくるのでは、という陰険な筆者の独り言はとりあえず捨て置くべきだろう。何故なら、単純な選択肢の多さが功を奏するという事は往々にして起こりえるからだ。

 

 

よって、後編においてはその選択肢の多さがいかなる範囲に及び、そしてどのように活用できるのかについて、引き続き極めて個人的な意見を垂れ流したい。

 

 

Raretsu

 

新宿に佇む老舗にして、息づく最後の良心【新宿三丁目 ヤマモトコーヒー店】

 

コーヒーの明日を憂うコーヒーフリークの諸兄姉に対し、今になって説くのも烏滸がましく感じられるところもあるが、コーヒーというのはとても心躍るものだ。

 

自らの嗜好に合わせ、飲み方や淹れ方、豆の種類や焙煎具合を選ぶ。それは無論、街の喫茶店で嗜むということでも好し、家で愉しむもまた好し。楽しみ方は万人によって異なり、それを阻むものもまた存在しないといってよいだろう。

 

我々がコーヒーを楽しむ時。

それは、人生において最も満ち足りた瞬間といっても過言ではないだろう。

 

 

この至福の時間を支えるように、今日では様々なコーヒー関連店が存在する。

わけても近年はサードウェーブ、あるいはフォースウェーブなどといった新たな潮流があり、カフェの新規出店たるや特筆すべきものがある。かつての日本に、コーヒーがこれほどまでに隆盛を極めると予想しおおせた人物が、一体いかほどおられたであろうか。

 

そしてその内の一人が創設したとされるお店こそ。

新宿三丁目に静かに佇む、ここヤマモトコーヒー店である。

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お店でもらえるカード。この風情や情緒、紙質までが実に小気味よい。

カードを見れば創業は1946年とされているようだが、時代の趨勢を読んだ先代がコーヒーを取り扱い始めたのがおおよそその頃だ、という。それ以前は浅草エリアで日本茶と海苔を扱っていたとのことであるから、その前身まで考慮に入れたならば、創業は明治時代に遡る事になるだろう。

 

 

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現在はコーヒーがメインで、加えて紅茶。かつて先代は周囲の強硬なる反対を押しのけ、コーヒーの取り扱いを決断したという。

現在のご主人は、先般の事情も踏まえればお店としては3代目、コーヒー専門店としては2代目との事。若年の頃はそれこそ新宿という場所柄もあり、コーヒーの宅配もご自身で行っていらっしゃったという。

 

 

 

 

さて。

新宿東口からほど近く、コーヒーの豊潤なる芳香が漂ってきたならば、そここそヤマモトコーヒー店だ。

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老舗の風情、風格とはこういうものをいうのではなかろうか。

 

 入り口にて圧倒的な存在感を漂わせるは、壮観なるコーヒー豆たちである。各種ブレンドから、国や品種によって分けられている。基本的にはミディアムローストが主だっているとのことだ。コーヒー第3の波が来て以来は、極浅煎りが俄かにもてはやされるようにはなったものの、当時としては恐らく珍しかったのではなかろうか。

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この写真では18種類に見えるが、奥の丸いケースにも豆が封入されている。写真下のスペースにも器具が所狭しと並ぶ。


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これらの多品種なコーヒーに加え、レジ横周りのハイレンジの豆にも注目したい。

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ここのラインナップは時期によって変わる。撮影の前週はエスメラルダはゲイシャがあったことを記憶している。

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コピ・ルワックも。最高の人生の見つけ方『The Bucket List』が記憶に新しい。

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生豆から愉しみたい諸兄姉も、ここならば要望に応えてくれること請け合いだ。

 

 

そして同店の取り扱いはコーヒー豆だけに留まらない。豊富かつ多岐にわたる器具も、やはり所狭しと並ぶ。

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ここにはミル類、ポット、エスプレッソメーカー、ミルクジャグなど。

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拘りのネルドリップも、ここで。

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かつての面影を感じる…と言うのは過言かもしれないが、わずかに抹茶の取り扱いが見える。

 

 

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右手の機械で、焙煎を行っている様子もしばしば見られる。

 

 

レジ奥に見える階段を降りたならば、同店における紅茶エリアへ。

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階段の突き当りには、かわいらしいミルクピッチャー。

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紅茶の品揃えも侮るなかれ。

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カラフルなカップも。これはたしか、ORIGAMIであったか。




このように、同店の多岐にわたる品揃えはまさしく筆舌に尽くしがたいほどである。

この品揃えが同店の魅力の1つとして数えられることに対しては、筆者も諸手を挙げて首肯するところだ。

 

とはいえ、もちろんウィークポイントが全く無い、ということではない。例えば器具それぞれの価格だけ見れば、最安というわけではないだろう。実店舗を持たなければ、なるほどたしかに同店よりも更に安いという事もあろう。

が、しかし。

同店の魅力とは、見てくれの商品そのもののみの範疇で完結する話では、断じてない。

 

 

例えば、かれこれ数年来筆者が好んで購入しているこのエスプレッソブレンド

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様々な店にて種々の豆を試したが、ここ数年はほぼこのブレンドに固定している。

その昔、コーヒー豆といえば舶来の品しかなかった頃。

当時取扱っていたillyの豆を選り分け、観察し、分析し、研鑽を重ねた末に完成したブレンドだという事だ。当時のillyと比較すると、ともすれば浅めの焙煎に仕上げていたそうだが、illyの豆も時代によって変化しており、今ではその焙煎の順序は逆転しているかも、とはご主人の言。

 

 

この製品努力は言わずもがなであるが、決してそれをひけらかすわけでもない。しかし尋ねれば、このように気さくに答えてくれるこのご主人はまた得難く、同店に欠かせない要素であると確信する。

 

コーヒーをまさに始めようと考えた来訪者に尋ねられれば、入門におすすめの器具や豆についてのアドバイス。既にコーヒーの器具を揃えていると思しき玄人の一人は、フルマニュアル式のマシンの調子が悪くなってきたとかで、ご主人に診てもらっていたようだ。

そこにちょっとした小話や、コーヒー談義が付帯することもしばしば。

またある時には、単に道を尋ねにくる初老の御仁すら見受けられる。

 

 

まさにこのような、”気さく”なお店はこのご時世、徐々に少なくなってきたようではなかろうか。

そして同店はかねてよりこのようであったからこそ、コーヒー初心者から玄人まで、また性別や世代、時代すらも問わずに、この地で変わらず愛されてきたに違いない。

 

 

 

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豆購入時に同封されるサービス券。一枚一枚、判子の位置が異なることにお気づきだろうか。たまにずれていたり、押されていなかったり…。ここにも風情を感じてしまうのは、さすがに感傷的に過ぎるだろうか。

 

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豆は100gから購入可能。この日は久しぶりに、同店1番人気というジャーマンローストを。

 

これからコーヒーを始めたい、あるいはすでに愉しんでいる諸兄姉も。

近くに訪れた際には、コーヒーの芳香につられてみるのも悪くないのではないだろうか。

 

 

Raretsu

 

 

www.yamamoto-coffee.co.jp

 

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<br />昼総合点<span style="color: #FF8C00;">★★★★</span><span style="color: #A9A9A9;">☆</span> 4.6
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