対岸(Michigan)のブランパン

対岸(Michigan)のブランパン

このブログには、一部誇張表現や常軌を逸した回りくどさがありますが、自覚はございます。

新宿に佇む老舗にして、息づく最後の良心【新宿三丁目 ヤマモトコーヒー店】

 

コーヒーの明日を憂うコーヒーフリークの諸兄姉に対し、今になって説くのも烏滸がましく感じられるところもあるが、コーヒーというのはとても心躍るものだ。

 

自らの嗜好に合わせ、飲み方や淹れ方、豆の種類や焙煎具合を選ぶ。それは無論、街の喫茶店で嗜むということでも好し、家で愉しむもまた好し。楽しみ方は万人によって異なり、それを阻むものもまた存在しないといってよいだろう。

 

我々がコーヒーを楽しむ時。

それは、人生において最も満ち足りた瞬間といっても過言ではないだろう。

 

 

この至福の時間を支えるように、今日では様々なコーヒー関連店が存在する。

わけても近年はサードウェーブ、あるいはフォースウェーブなどといった新たな潮流があり、カフェの新規出店たるや特筆すべきものがある。かつての日本に、コーヒーがこれほどまでに隆盛を極めると予想しおおせた人物が、一体いかほどおられたであろうか。

 

そしてその内の一人が創設したとされるお店こそ。

新宿三丁目に静かに佇む、ここヤマモトコーヒー店である。

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お店でもらえるカード。この風情や情緒、紙質までが実に小気味よい。

カードを見れば創業は1946年とされているようだが、時代の趨勢を読んだ先代がコーヒーを取り扱い始めたのがおおよそその頃だ、という。それ以前は浅草エリアで日本茶と海苔を扱っていたとのことであるから、その前身まで考慮に入れたならば、創業は明治時代に遡る事になるだろう。

 

 

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現在はコーヒーがメインで、加えて紅茶。かつて先代は周囲の強硬なる反対を押しのけ、コーヒーの取り扱いを決断したという。

現在のご主人は、先般の事情も踏まえればお店としては3代目、コーヒー専門店としては2代目との事。若年の頃はそれこそ新宿という場所柄もあり、コーヒーの宅配もご自身で行っていらっしゃったという。

 

 

 

 

さて。

新宿東口からほど近く、コーヒーの豊潤なる芳香が漂ってきたならば、そここそヤマモトコーヒー店だ。

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老舗の風情、風格とはこういうものをいうのではなかろうか。

 

 入り口にて圧倒的な存在感を漂わせるは、壮観なるコーヒー豆たちである。各種ブレンドから、国や品種によって分けられている。基本的にはミディアムローストが主だっているとのことだ。コーヒー第3の波が来て以来は、極浅煎りが俄かにもてはやされるようにはなったものの、当時としては恐らく珍しかったのではなかろうか。

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この写真では18種類に見えるが、奥の丸いケースにも豆が封入されている。写真下のスペースにも器具が所狭しと並ぶ。


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これらの多品種なコーヒーに加え、レジ横周りのハイレンジの豆にも注目したい。

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ここのラインナップは時期によって変わる。撮影の前週はエスメラルダはゲイシャがあったことを記憶している。

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コピ・ルワックも。最高の人生の見つけ方『The Bucket List』が記憶に新しい。

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生豆から愉しみたい諸兄姉も、ここならば要望に応えてくれること請け合いだ。

 

 

そして同店の取り扱いはコーヒー豆だけに留まらない。豊富かつ多岐にわたる器具も、やはり所狭しと並ぶ。

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ここにはミル類、ポット、エスプレッソメーカー、ミルクジャグなど。

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拘りのネルドリップも、ここで。

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かつての面影を感じる…と言うのは過言かもしれないが、わずかに抹茶の取り扱いが見える。

 

 

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右手の機械で、焙煎を行っている様子もしばしば見られる。

 

 

レジ奥に見える階段を降りたならば、同店における紅茶エリアへ。

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階段の突き当りには、かわいらしいミルクピッチャー。

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紅茶の品揃えも侮るなかれ。

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カラフルなカップも。これはたしか、ORIGAMIであったか。




このように、同店の多岐にわたる品揃えはまさしく筆舌に尽くしがたいほどである。

この品揃えが同店の魅力の1つとして数えられることに対しては、筆者も諸手を挙げて首肯するところだ。

 

とはいえ、もちろんウィークポイントが全く無い、ということではない。例えば器具それぞれの価格だけ見れば、最安というわけではないだろう。実店舗を持たなければ、なるほどたしかに同店よりも更に安いという事もあろう。

が、しかし。

同店の魅力とは、見てくれの商品そのもののみの範疇で完結する話では、断じてない。

 

 

例えば、かれこれ数年来筆者が好んで購入しているこのエスプレッソブレンド

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様々な店にて種々の豆を試したが、ここ数年はほぼこのブレンドに固定している。

その昔、コーヒー豆といえば舶来の品しかなかった頃。

当時取扱っていたillyの豆を選り分け、観察し、分析し、研鑽を重ねた末に完成したブレンドだという事だ。当時のillyと比較すると、ともすれば浅めの焙煎に仕上げていたそうだが、illyの豆も時代によって変化しており、今ではその焙煎の順序は逆転しているかも、とはご主人の言。

 

 

この製品努力は言わずもがなであるが、決してそれをひけらかすわけでもない。しかし尋ねれば、このように気さくに答えてくれるこのご主人はまた得難く、同店に欠かせない要素であると確信する。

 

コーヒーをまさに始めようと考えた来訪者に尋ねられれば、入門におすすめの器具や豆についてのアドバイス。既にコーヒーの器具を揃えていると思しき玄人の一人は、フルマニュアル式のマシンの調子が悪くなってきたとかで、ご主人に診てもらっていたようだ。

そこにちょっとした小話や、コーヒー談義が付帯することもしばしば。

またある時には、単に道を尋ねにくる初老の御仁すら見受けられる。

 

 

まさにこのような、”気さく”なお店はこのご時世、徐々に少なくなってきたようではなかろうか。

そして同店はかねてよりこのようであったからこそ、コーヒー初心者から玄人まで、また性別や世代、時代すらも問わずに、この地で変わらず愛されてきたに違いない。

 

 

 

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豆購入時に同封されるサービス券。一枚一枚、判子の位置が異なることにお気づきだろうか。たまにずれていたり、押されていなかったり…。ここにも風情を感じてしまうのは、さすがに感傷的に過ぎるだろうか。

 

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豆は100gから購入可能。この日は久しぶりに、同店1番人気というジャーマンローストを。

 

これからコーヒーを始めたい、あるいはすでに愉しんでいる諸兄姉も。

近くに訪れた際には、コーヒーの芳香につられてみるのも悪くないのではないだろうか。

 

 

Raretsu

 

 

www.yamamoto-coffee.co.jp

 

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